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「オレンジの輪」おとなプラスシリーズⅠ(第2土曜日) 認知症・思いやりのケア

入浴拒否への対処 焦り禁物、環境演出に工夫

2017年12月11日

おとなプラスシリーズⅠ

新潟・認知症啓発キャンペーン

認知症・思いやりのケア⑤


入浴拒否への対処

焦り禁物、環境演出に工夫


 「最近、何かと理由をつけて風呂に入ろうとしない」「もう1カ月風呂に入っていないと言うと、怒って話にならない。一体どうしたらいいのか」

 もの忘れ外来を受診している認知症の人の家族から多く寄せられるのが、この悩みです。認知症の中でもアルツハイマー型認知症の人に多く認められます。

 この症状の根底にあるのは、「意欲低下」です。何をするにも億劫になり、「入浴は面倒で疲れる」と拒否する人が多いものと思われます。加えて「人に裸を見られたくない」という抵抗感もあります。

 また、記憶障害のため本人は既に入浴したと思い込んでいる場合や、「服の脱ぎ方が分からない」など手順を忘れる「失行」の症状で拒否することもあります。

 さて、このような症状にはどう対応すればいいのでしょうか。してはいけないのが、無理矢理入れようとすることです。「汚い、不潔だ」などと頭ごなしに怒鳴ってもいけません。アルツハイマー型認知症の人は何を言われたかは忘れてしまっても、無理矢理入浴するように迫られたという「嫌な感覚」は残りますので、後々更に拒否が強くなるかもしれません。

 どんなに「清潔にしないと病気になってしまう」と説得しても、必要がないと考えているので、無駄です。まずは、本人が入浴しようという気分になるような環境を演出することが大事です。

 普段は入浴を拒否する人が、「明日は先生の外来の日だから、きれいにして行きましょう」と家族に薦められると、素直に入浴したという例もあります。

 また「お風呂の時間です」と言って洗面器とタオルを渡すと、その流れで入ってくれることもあります。同様に「入浴後に冷えたビール(牛乳)飲みましょう」と誘うのも手です。

 理論的に説明して説得するよりは、本人の昔からの習慣を考えて何気ない環境を作る方が効果的なようです。子どもや孫が誘って、一緒に入浴するのもうまくいくことがあります。

 どうしても駄目な時は、デイサービスなどの介護サービスを利用するのがいいでしょう。介護サービスの事業所では、入浴拒否に慣れていますから、さまざまな方法を駆使して入浴に誘ってくれます。

 ちなみに、「1年くらい入浴しなくても死にはしない」と言われることがありますが、私が見ている限り、確かに入浴しなかったせいで具合が悪くなった方はほとんどいません。

 ですから、「なんとか入浴させないと」と焦る必要はありません。焦りはすぐに認知症の人に伝わってしまいます。大らかな気持ちで接する余裕が大事だと思います。



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