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こんな時どうしたら

〈第17回〉嚥下障害で胃ろうを作った92歳 飲み込み回復で取り外し、再発後は拒否

2017年11月27日



訪問栄養指導受け食事改善

食べる喜び生きがい


 Qさん(92)は10年前に脳梗塞を患い入院しました。その時左まひと嚥下(えんげ)障害が出たため一時胃ろうを作りました。胃ろうは、チューブで胃に直接栄養を送り込むための穴のこと。口から食べることができなくなった時に行われる治療です。

 胃ろうを作っても食事は可能です。入院中に行ったリハビリの効果で飲み込みができるようになり、かまなくていいミキサー食を取ることはできるようになりました。歩行も困難で訪問診療となりました。

 Qさんは退院後徐々に体力がつくにつれ、ミキサー食に飽きてしまいました。もう少ししっかりした食事も可能ではないかと医師と訪問看護師、デイサービス担当者、ケアマネ―ジャーが協議し、飲み込み評価を目的に検査入院。飲み込みの改善が確認されました。本人の食べたい気持ちが強いため栄養士が訪問栄養指導。食事の範囲がさらに広がり、食べることが生きがいになりました。

 食事の変更から4か月たっても誤嚥性肺炎を起こさなかったので、念のため残した胃ろうを外しました。胃ろうは抜くとすぐに自然に閉じます。本人は「邪魔ものがなくなった」と喜びました。

 その後も自宅療養を続けましたが、90歳で脳梗塞を再発し入院しました。今度も嚥下障害があり、軽度の右まひも出ています。今回はリハビリでも体力が改善しません。

 本人は「もう胃ろうは嫌だ。たとえ肺炎を起こしても入院せず自宅療養したい」と希望。何とかゼリー状のものを食べられるだけですが、それでも食べられる幸せを感じて退院しました。また訪問栄養指導が入り、何とか食べる気持ちを満たせるようにしました。

 1年後、心配された肺炎を起こしました。自宅で抗生剤を点滴し肺炎は改善しましたが、全身の体力が低下。ゼリーを少し食べられる程度です。やはり胃ろうを拒み、やがて全く食べられなくなりました。家族は自宅での看取りを望み、その後亡くなりました。家族としては最後まで食べさせられてよかったと話していました。






ささえ~る+アドバイザー

阿部 行宏さん

(阿部胃腸科内科医院理事長)




最後まで食べることを考える


 胃ろうでは、おなかの壁から胃にチューブで直接栄養を入れます。食事を口から食べることができなくなった時に行われる治療です。この治療を受ける際には本人と家族が今後の治療についてよく考えなければなりません。一度作ると抜くことが難しい場合もあるからです。本人にとって一番よい治療は何かを、具合が悪くなる前から考えておくことが重要です。

 また、栄養指導はかかりつけ医から栄養士への指示が必要です。栄養士の指導を受けることで、本人は望むような食事がとれるようになり、間違って肺に食事が入ってしまう誤嚥性肺炎になりにくくなります。介護者も肺炎への不安を和らげることができます。

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